スリルとサスペンスの違い。あとスリラーについて。

文庫本の帯に”ミステリー”と銘打って合ったのですが、読み進めてみると、これ”サスペンス”だ! と思ったので、スリルとサスペンスについての私見を書きました。


引用記事:真行寺美琴のぬいぐるみ事件簿(飯田雪子)レビュー

文庫本の帯には

”ほっこりユーモアミステリー!”
というキャッチフレーズが銘打ってありますが、

ジャンルとしては”ミステリー”よりも”サスペンス”の方が私にはしっくりきました(語感では断然”ミステリー”の方が好みです)。

”ミステリー”と”サスペンス”は、解釈イロイロで定義が曖昧です。

なのでここでは

ミステリー=”謎解き”が醍醐味のストーリー。

サスペンス=謎解き以外で読者に”緊張感”を与えるストーリー。

もっと単純にすると、物語序盤の段階で

ミステリー=読者には犯人がわからない。

サスペンス=読者には犯人も犯行の動機もなんとなくわかる。

と、定義させていただきます。

その上で私は、この物語を”サスペンス”だと思いました。

 

公開されているあらすじや、ストーリーの序盤でわかることを箇条書きします(あくまでも物語の序盤です)

・高校一年生の美琴が祖父の莫大な遺産を相続した。

・祖父の死後、一月もしないうちに美琴の母(祖父の息子である夫は美琴が3歳の時に他界)の同級生の久我(イケメン)が家に尋ねてくる。

・母の再婚を期待する美琴だけど、久我は美琴と二人きりになりたがり”良いムード”を創ろうとしている。

 

…はい、大体謎は解けました。 そしてすごいな」と思いました。

 

なにが「すごい」と思ったのか

”謎解き”という強力なスパイスを序盤で手放したことです。

この作品に謎解きは必要ありません。

必要なのは

悪役を通して、物語の中に”疑念”を持ち込むことです。

この”疑念”を解決するために、

昔から良く見知った、それでいて疎遠になっていたキャラクター達が結託します。

そして騒動を解決する課程で

主人公を含め、登場人物の心境の変化と成長を描いています。

現実世界にちょっとだけ不思議(じいちゃん憑依)を混ぜた王道のストーリーに

過度なスパイス(ミステリー要素)をあえて加えないことで

キャラクターの人物像や、関係性がより際立っています。

”味付けはいらん。素材で勝負!!” みたいな作品です(※料理対決はしません)。

一連の騒動を経たあとの美琴達の心持ちの変化をみて、温かい気持ちになれました。

 

 

ちなみに

”ミステリー””サスペンス”の他にも、イマイチ定義が曖昧な

”スリラー”

というジャンルがあります。”スリラー”については

”どんでん返しの連続”

と私の中で定義しています。

例えば

「文庫本の帯に”ミステリー”と銘打った本の中身が、読んでみたら実は”サスペンス”だった!」

と途中まで思わせておいて、最後まで読み進めていくと

「実はサスペンスではなかった!」

と、先の展開がまるで読めない、ワクワクするようなジャンルが、私にとってのスリラー”です。……はい。

”ほっこりユーモアミステリー!”

”ほっこりユーモアサスペンス!”

”ほっこりユーモアスリラー!”

帯のキャッチフレーズを3パターン並べてみました。

サスペンス”と”スリラー”の文字が盛大に浮いていて、これはこれで興味をそそられますが

”ほっこりユーモアミステリー!”

がやっぱり語感として馴染みますね。

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