●あらすじ
ある日突然、ダークファンタジー風異世界に飛ばされた無職青年・シュウヤ。
だが彼は異世界ライフを楽しむべく、自らそこでキャラクターメイキングを行い、光と魔の力を合わせ持つ強力な新種族に転生。サバイバル生活の中、スケベで陽気な彼は持ち前のバイタリティで、豪勇無双の槍使いへと成長する。やがてシュウヤは、契約を結んだ黒猫にして最強の神獣・ロロを相棒に、美女とスリルを求めて気ままな旅に出ることに!
●名(迷)言達
「世界を見て回り、迷宮や不思議な遺跡でお宝を見つけ、美人な女と酒を飲んだり、そのあとにやることやったりとー」by【カガリ(スケベな主人公)】
●みどころ
MMOゲームのようなステータス設定がある世界に転生した主人公の物語です。
タイトルに黒猫と銘打ってますが、モフモフ感は控えめです。
前世の記憶をもつ主人公の価値観で比喩をします。
主に、SF映画作品が多いので、通な方には世界観が掴みやすいかと思います。
●読んでみての感想
みどころでご紹介した部分ですが、私としては物足りなさを感じました。
作品名を引用したり、仄めかしたりするだけで、風景の描写を済ませているからです。
そして引用する作品がドラえもんやアンパンマンのように、皆知っているような、作品からの引用ではなく
”これなんの作品だっけ?” みたいに物語から集中が途切れてしまう部分が沢山ありました。
しかし,コレは私個人の感性と予備知識の問題でもあるので、その風景描写部分を本文より抜粋し、ご紹介します
とてつもない巨大な円形の建造物。
中には水膜が張っていて、円形の縁には色々なマークと共に文字装飾が書かれてある。
「おぃおぃ、こりゃゲートか?」
SF映画にあったような物にそっくりだぞ? 円形の縁回りには蛇が踊っているような文字が刻まれてある。
『ザララープー遠くと近き物』らしい
SF映画にあったような物、のSF映画の作品名は、多分「スター・ゲイト」だと思います。私は、具体的な形状の描写が貧弱で、作品名を思い浮かべるために、集中が切れました。
あとがきでは、著者の先生が感化された多数の映像作品を列挙して、紹介しているくだりがありましたが。
今作品を読む限り、あまり感化されているようには思えなかったのが、正直な感想です。
どっちかに振り切るべきだと思いました。
誰もが知っているであろうポピュラー作品の有名なシーンを選別して比喩に用いる。
または
通でないとわからないマイナーな作品のネタや風景描写をトコトンまで細かく描写する。
稚拙ですが、私が求めている物の具体例を書かせて頂きます。
以下の引用文は主人公が師匠に超能力的な能力”魔技”を教えて貰うくだりで、一人称視点の主人公が思い描いた内容です。
魔技だって? 魔法、やはり超能力! 凄い、 ジェ○イの騎士みたいじゃないか。
アキレスさんは、ひょっとして、マスターヨー○ですか?
これが”面白い”と思える感性が私には備わってませんでした。
アキレスさんは巻き角のある、人型の豪傑で、ぜんぜんヨーダに似てないからです。
「フォースを信じるのだ」
みたいな言いまわしをパロった台詞すら言ってないのに。
魔技、という超能力に似た技を教えるというだけでヨーダ扱いです。
せめて、「アキレスさんは、ひょっとして、マスターヨー○ですか? 見た目が鎧着ているボバフェットみたいな厳ついナリしているのに教えてくれるんですか? ボバってフォース使えないのに!」
みたいな批評性をもっと全面に出して欲しかったです。
正直、引用している作品達にたいする、思い入れを感じることが出来ませんでした。
風景描写の便利な比喩ツール以上の働きしか見せていないのが、残念でした。
あと、主人公がスケベな設定らしいですが、ムッツリでもドップリでもない中途半端な感じでした。
もっと毒を持たせてもよかったのでは、と思います。
全体的に
振り切れてない感があります。
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