おことばですが、魔法医さま。 ~異世界の医療は問題が多すぎて、メスを入れざるを得ませんでした~(時田 唯)レビュー


●あらすじ

優秀な医学生の伊坂練次郎が召喚された世界……そこは回復魔法が正統な医療として発展した異世界だった。

魔法医の少女コーディによる魔法治療を目にした伊坂は、それが内科的な病気にあまり効果がないことに気づく。

ならば!

と現代知識を活かして病に苦しむ人たちを診て回るが、

それを知ったコーディはなぜかプンスカ怒りだし――??
「魔法こそ唯一絶対の医療なんです! あなたの言うカガク?なんて認められません!
自らの医療魔法に絶対の自信をもつ少女と、現代医療に全幅の信頼を置く青年。二人の出会いが異世界医療に革命を起こす!?


●名(迷)言達

「いま、あなたの食欲に直接語りかけています」by【イサカ(カップラーメンの匂いを嗅がせながら)】

「え~? 待ってよ。心臓ってもっともっと楽しいのに」 by【イサカ(心臓の解説中)】

「私は努力が美徳だとも、価値があるとも思ってません。医療は結果がすべてです!」by【コーディ(魔法医)】


●みどころ

医学に対して無知どころか不信感しかない異世界で奮闘する主人公を介して

現代医学の問題提起をしている作品です。

それは、疾患だけに止まらず。医療をとりまく、社会構造まで描いているので、考えさせられます。


●読んでみての感想

職業系の作品で、

医学生で比較的優秀な能力を持っている主人公が異世界転移して、活躍する作品です。

異世界では魔法による治療で、外傷を外科的なものを治癒する魔法医学に特化した世界で、病気などの内科の技術著しく遅れています。

ウィルスや紫外線などの目に見えないものが原因の症状を”邪な精霊”の仕業とされ、外傷を治す治癒魔法(若干疲労回復の効果もある)と同じ方法で対処している状態でした。

薬も、医学的根拠のない”魔法薬”こそありますが、とても高価で、一般人の手に届かない代物です。

過去に医学に似た技術が栄えていた時代もあったのですが、それが不遇な事故により、禁忌とされ、廃れてしまった世界です。

食品は現実世界と共通しています。

 

主人公は、自分の培った医学の知識フルに活用して、民間療法や、うがいなどの予防の知識を広めたり。

魔法では解決しきれないない、疾患を治療する。という物語です。

 

現実世界に蔓延っている疾患を異世界で治療する物語

 

このテーマを扱うのには、かなりの覚悟が必要だと思います。

そしてこの作品では、その覚悟を感じ取ることが出来ました(勿論、私に医学の知識はありません)。

 

疾患の原因やその対処の方法などを、わかりやすく、詳細に書いています。

異世界に医学の知識を持った人間が現れて職業無双

を楽しむ作品ではありません。

 

医学を全く信じていない異世界の住人達を介して

現実世界で起こっている医療関連の問題を浮き彫りにさせています。

土地に伝わる間違った対処療法から、袖の下、患者やそれらを取り巻く隣人達が陥りやすい精神状態

などを、細かく解説しています。

知的好奇心が満たされ、いろいろと考えさせられる作品でした。

 

実際の病気を扱っているので、解説がとても細かく書いています。

単純なストーリーとして読むとこの解説部分で展開がストップしてしまいます。

かといって、外してはいけない部分だと私は思うので、これはこれで良かったと思います。

そういう意味では、ストーリーの方は、あまり印象に残らなかったのは確かです。

しかし、問題提起をするという部分で、この異世界設定を用いることで、理解しやすく、読み進める事ができました。

オススメです。

 

 

 

 

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