●あらすじ
人々の期待を背負って、強大なる魔王を討ち果たした少年、トウカ。
しかし、彼に報いるべき王家は非情にも裏切り、少年の命を奪い取ってしまう。
この日、ひとりの勇者が死んだ――。
宇宙に漂う巨大な竜骸で形成された惑星。そこに生まれ、数奇なる運命に導かれる、かつて勇者と呼ばれた少年の物語。
復讐の刃とともに厳しく荒れ果てた地を彷徨う彼の行く手に、希望という名の光明は差すのだろうか?
いま、禁断の叙事詩(ファンタジー)が、紐解かれる――。
●名(迷)言達
「大人しくして、・・・・・・このまま殺したくなるから」by【ジュナ(殺された魔王の娘)】
「ええと・・・・・・いただきます」by【トウカ(魔王を殺した純朴な田舎育ちの勇者)】
「・・・・・・どんなことをしてでも生きようとした奴だけが、ここで生き延びてるんだ」by【ヘイゼル】
●みどころ
絶対悪の描き方が、すごいです。
本当に滅ぼしたくなります。
王国に裏切られた勇者が他方の虐げられた種族(魔族を)束ねて
復習を果たさんとする作品です。
●読んでみての感想
序盤は文体が硬派で、キャラクターの心理より、世界観の描写や、キャラクターの行動を客観的に書いていて
それで、文体が歯切れ良くて、読みやすかったです。
ただ、登場人物が多くて、で、台詞のやりとりが・・・
私個人の感想としては、イマイチでした。
一番作品内で楽しめた展開は 序盤の部分で。
国が”魔王”と定めた絶対悪の存在を
加護に選ばれた 名家でもなんでもない田舎の少年が、使命感で仲間達とともに倒す
けれど、農民だった主人公が勇者としてのし上がり、信仰の対象になることを恐れた王家は、
勇者となった主人公と仲間達の殺害を企て、で、主人公が命からがら逃げ出し、かつての敵である”魔族”が彼を助ける。
っていう展開で。
主人公は復讐心から魔族(王国が劣悪人種とプロパガンダしていてただけで、倫理観はまとも)と結託して、王国に復習を果たそうとする
のが物語の序盤なんですけど。
描き方が本当に
”王国滅ぶべし!”
と感情移入できるほど、えげつない行いを 王国が主人公にやるシーン。は凄く良かったと思います。
その後の展開で。
キャラクターが増えてくと、
文体がちょっと変わって来たのですね。
硬派なのが軟化していって。その割にキャラクターが場面を盛り上げているかっていうと、そうでもなくて。
・・・・・・チープ・、というか台詞を言わされている感じ? ですか。
なんでかなぁ、と考えたのですが。
主人公のカリスマ性が不自然。なのかな、と
主人公がそれこそ勇者として、職務を全うしたという実績こそありますが、
王国に半期を翻すのは、後々理由付けがされていきますが、 復讐心。です
ただ、復讐心で言うならば、虐げられてきた魔族連中の方がよっぽど強いわけで。
主人公がゲリラ戦から、魔族や亜人達を束ねていって、徐々に組織だった行動をみせるのが、この物語の見所なんですけど。
その束ねていく部分にイマイチ説得力を感じませんでした。
あと、主人公と側近と王妃の三角関係も、なんか復讐心に安っぽさを加えているだけで、物語のスパイスになりえなかったのはちょっと残念でした。
もっと硬派にしあげてほしかったな。と思いました。
本当にそれくらい ストーリー序盤の展開は 血湧き肉躍る展開だったので、その分期待値があがってしまったのかもしれません。
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