「だって本当に地味なんだもん」
●あらすじ
「1週間だけでいいから、俺に勉強教えて!」
高校2年生の柏木美佑は、地味で引っこみじあんな女の子。
男子と話すなんて絶対ムリ!……だったのに、突然クラスの人気者・赤城君から話しかけられちゃった!
成績が上がらないと部活に参加できなくなると言う赤城君のお願いで、放課後2人きりで勉強することになったけど?
「俺達なってみる?放課後だけの彼氏彼女に」
胸キュン&ドキドキな秘密の放課後授業、スタート!!【エブリスタ小説大賞2015-16「学園ストーリー大賞」準大賞受賞】
●名(迷)言達
「すっげー幸せそうな顔で本、読むんだな。柏木って。いつもそんな顔してりゃいーのに」by【赤城くん(イケメンで長身でバスケ部なクラスメイト)】
「今日は朝から慣れない人達と喋って疲れた」by【柏木の語り】
「だって本当におかしくなりそうだった」by【柏木の語り】
「でも、せんせーだろ? これだって個人授業みたいなもんだし」by【赤城くん(無邪気でイケメンなクラスメイト)】
「それにさ、こうして誰もいない教室で放課後に女子と二人だなんて、付き合ってるみてーじゃん? 俺ら」by【赤城くん(イケメンで話すときいつも顔が近いクラスメイト)】
●みどころ
主人公の眼鏡です。
眼鏡が、シチュエーションを盛り上げてくれます。
あるときはズレたり、落ちたり、視界がぼやけたり、動かしてみたり……
一人称視点で展開されるストーリー。
柏木のいっぱいいっぱいな語り口と、物理法則に則った柏木眼鏡の描写が臨場感を与え、
ギュンギュン(ピュアな心をお持ちな方はキュンキュン)な展開へと案内してくれます。
●読んでみての感想
いろいろ心臓に悪い作品でした(以下、レビューというか心の叫びになります、ご注意ください)。
赤い眼鏡をしているから
”トンボの地味子”
とあだ名され、かといって面と向かって自分の名を呼ぶような人はいない。
クラスの喧噪に紛れていながらの孤独な17歳……
勉強は嫌いじゃない。
勉強は裏切らないから好き。
こんな地味な私でも、少しは女の子らしくいられる時間が、放課後、恋愛小説を読んでいる時だった。
こんなプロローグ、心臓に悪いです。苦しくなりますよ!
こんな”究極のボッチ”を体現した主人公
なんていうか既視感が……いやない! そんなもの認めません! 認めませんよ!
などと葛藤している間に、短いプロローグが終わってしまうのですが、
次章はですね
ひょんなことからクラスメイトのバスケ部、赤城君に放課後勉強を教えることになるんです。
誰もいない教室に二人きり、の
個人授業。
です。
赤城君が
元気で無邪気
なんです。
そして距離が近いんです。
何度主人公がとりみだしたことか、心臓に悪い。
始終心臓にギュンギュンくる。
あと、バスケ部のマネージャーの女の子とか、明らかにライバルキャラになるかと思いきや、いい奴で
地味子にストレスフリーな、競合のいない優しい世界。そして赤城君の友達も、すべからく長身でイケメンです。
ストレスフリーな優しい世界で
赤城君は無邪気に息の根を止めてきます。
赤城君の無邪気さ加減は、上掲した迷言達の文脈からご想像ください。
うん、悶えました。
読んでいる時一人で良かった。
部屋に一人でいてよかった。
本当に一人でよかった。
……そろそろ泣いてもいいですか?
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