君を救うためならば、無限にだって強くなる。
●あらすじ
夢と希望が詰まった《ガルデニア七迷宮》の一角を攻略した英雄に憧れ、冒険都市へとやってきた新米冒険者の少年ハレ。
ステータスは貧弱だが、魔物のスキルを喰らい、自らの力とする超レアスキルを所持する彼は、迷宮探索の帰り道、子猫を連れた美少女の危機を救う。
少女の名前はヒナ。
誰にも頼れず、ひとりぼっちだと言う彼女と友達になったハレを待ち受けるものとは!? 強く一途な想いと、たったひとつのスキルを武器に最強へと駆け上がる
成長チート英雄譚、開幕!
●名(迷)言達
「でも無職どーてーのハレも、ヒナは嫌いじゃないですよ?」by【ヒナ】
「テンプレではなく王道と言ってほしいです」by【ヒナ】
●みどころ
バトルシーンが多めです。
ゲーム要素を盛り込んだ世界観です。
相手の能力を吸収して自分の物にする
俺TUEEE系の特殊能力を主人公は持っていますが、
能力の発動条件に制約があって、中々うまい具合に吸収できません。だから弱いです。
最初は、弱いです。そして強くなります。
●読んでみての感想
王道のRPG&ハーレム系ファンタジーでした。
特に予想を裏切る展開もなく、ストレスフリーで読むことが出来ました。
世界観にこだわりがあるのか、この物語ならではの造語が結構あります。
”物質界”という単語に”アララトリア”とルビが振ってある感じなので、混乱することはないと思います。
主人公がダンジョンを探索していく中で、モンスターと遭遇、バトル! みたいな感じで戦闘シーンは多めです。
戦闘するモンスターの種類は多用で、その分ユニークなバトル展開があるのですが、
特に緊張感は感じられませんでした。
モンスターが打たれ弱すぎることと、
主人公が窮地に陥った時に閃いたアイディアが、確実にうまくいくからです。さらに、深手を負えば誰かに救われます。
安心して読めるので、その分、主軸となるストーリーに意外性があっても良かったのではないかなぁと、思いました。
物語は、中盤から一気に佳境へと盛り上がり始めるのですが、イマイチ緊張感を感じなかったのはどうしてかな、と私なりに考えました。
それで
キャラクターがちょっと希薄なのかな……と思ったんですね。
多分、ギャスセンスの部分です。
メタネタを隠蔽したようなメタ発言をします。
この類いのネタは、特に笑えないですね。そして、主人公にあまり共感出来なくなります。
なんか、心に余裕があるように見えるので。
様式化されたストーリーであることを逆手にとって
メタ発言のギャグを使っていることはわかるのですが、一発ネタのように使うので、笑えないのです。使うなら、もっと深化させないと。
あと、広い世界観の割には登場人物が少ないというのもあるのですが、
問題解決の部分では、主人公が基本的に自己完結で答えを導き出して、そしてうまくいってしまうので、ちょっと物足りなさを感じました。
様式化されたストーリーは、設定に頼れない真っ向勝負だと思います。
登場人物が、いかに
悲しみに打ちひしがれ、喜びに打ち震えるか。この二つの落差を何処まで広げられるかが、作品の魅力になると思います。
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