「他の家のお母さんだって、たまには息子と一緒にゲーム内転送くらい・・・・・・」
「ねーよ!」
●あらすじ
主人公、大好真人(おおすきまさと)はネトゲが大好きな高校一年生。父は単身赴任中で、母親と二人で暮らしている。
ある日、家に帰ると母、大好真々子(おおすきままこ)が内閣府の要人、白瀬(しらせ 一児の母)となにやら話をしていた。
真人は軽く挨拶を済ませ、自室にこもりネトゲを始めた。
一方客間では、白瀬が提示した登録用紙に母がサインを記入する。
真人の部屋に突入する白瀬。ネトゲ中の真人のキーボードをぶんどって、とあるURLを入力した。
「実際にゲームの世界に入れるとしたら、行ってみたいか?」
との問いかけに、真人は若干戸惑いながらも「行きたい」と答える。
そして、真人は画面に吸い込まれるようにしてゲームのファンタジー世界に入っていった。
”来た! 来てしまった! 転送完了! こんにちは非現実!”
なぜか真々子も来ていた。
お出かけ用のワンピースを着込んで・・・・・・ アラフォーなのに違和感を全く感じないほど似合っている。
”ママの、ママによる、ママのための、ママと、息子が大いに仲良くなるためのRPG”
母親同伴の新感覚冒険コメディ開幕!
●名(迷)言達
「ー『お知らせ』してこそ白瀬なので」by【白瀬さん(内閣府のお知らせ担当)】
「最近の人は贅沢なのねぇ。昔の勇者はみんな木の棒を握りしめて旅に出たのに」by【大好真々子(実母)】
「火力? お母さん火なんて出せないわよ? ガスコンロじゃあるまいし」by【大好真々子(実母)】
●みどころ
台詞がのやりとりが1ページあたり7割~9割くらいあります。かなり多めです。
掛け合いは主に4名(15歳主人公、アラフォー実母、ツンデレ女子高生、素直な12歳ロリっ子)で繰り広げられますが、
語尾に「にゃん」とか「ワン」を付けるようなベターな方法は一切取らずに、尚且つ色濃くキャラクターを書き分けています。
台詞が多いので、一人(主に実母)がボケると
すかさずツッコミが入ったあと、必ずと言っていい程
ボケの追撃が入ります。
作品全体に散りばめられた深化したボケがみどころです。
●読んでみての感想
タイトルから想像できるとおり、
メインヒロインが実母です。
アラフォーだけど、年齢が20代前半と見間違うほどの美女という設定です。
主人公はあまりにも若々しい母を母と見られないところもあったりしますが、悩みこそすれ、
決して、禁断の愛には発展しません。ご安心ください。
政府が母と子を仲良しにするためのプログラムとして
MMMMMORPG(某国の奴隷解放宣言をした大統領が言った有名な言葉の名詞部分を、頭にMの付く単語に変えて並べてます。)
というゲームを開発し、テストプレーヤーの一組として真人と真々子が選ばれ
旨く説明できない特殊な技術でゲーム内に転送されます。
最初、主人公はゲームの意図を知らないままプレイを進めます。
やがて、主人公があることに気づきます。
戦闘にしても、その他のサポートにしても
やたらと母親補正がかかることです。
ネトゲってなんぞ? な実母には
【母の牙】
【母の光】
のような、よくわからないけど母固有のスキルがあり、
伝説剣を二つ持っていて、戦闘では敵の群れを一瞬で一掃し、
パーティーの仲間を主人公が選別していると
「これがマー君(主人公)のお嫁さん候補なのね。母さんにも面接させてね」
と言い出したかと思えば、運営側が”母さん面接”という
母さんの許可無しではパーティーメンバーの加入もままならないシステムを実装。
さらに店には、武防具屋や道具屋だけでなく、食用品や日用品まで売っていて
台所を実母に貸して、朝食が作れる宿屋など
頼れるお母さん
をゲームが演出しています。
サービスシーンも、メインは勿論お母さんです。
「くっ・・・・・・これが母さんでなければ・・・・・・せめて他の誰かなら・・・・・・俺は少年らしくドキドキできたはずなのに・・・・・・チクショウ・・・・・・」
と、若いからこそ眼福となる展開を迎えても違和感が仕事しない実母に、頭を悩ませる主人公ですが
両者とも一線は越えないし、そんな気配も見せないので健全です。
特に実母は、息子の恋愛事情が気になるらしく、
パーティーメンバーの女子二人と主人公の行く末を生暖かい目で見守っている節があります。
メインヒロインが一線を引いている斬新な作品です。
なにも考えずに笑えました。
おすすめです。
個人的には『お知らせ』をお知らせする白瀬さんがお気に入りです。
余談です。
母親と禁断の愛に発展する作品で真っ先に浮かんだのは
戯曲(舞台)の
身毒丸(ウィキペディア)です。
この作品は継母と息子、身毒丸(しんとくまる)の禁断の愛を描いていて
有名な台詞があります。
「母さん。もう一度僕を妊娠してください」
・・・・・・ここまで来たら、悲劇にしかなりませんね。
よかった、マー君が一線越えるような展開がなくて。
本当によかった。
この主人公嫌い
なんで母親に対してこんな言葉遣いしてんだよって思う
ニャル子のマヒロくらいのツッコミがちょうどいいんだよ
彼はツッコミ役というより、思春期男子こじらせてる感が色濃くでてますね。
確かに好みは分かれると思います。