ワールドエネミー 不死者の少女と不死殺しの王(細音 啓)レビュー


●あらすじ

人類は世界の敵たる12体のアークエネミーとの全面衝突を繰り広げ、その命運は一人の男に託された。

ノア・イースヴェルト——史上最凶の「世界の敵」吸血鬼エルザに育てられた史上最強の怪異ハンター。

人類の切り札にして、不死たる世界の敵を討ち滅ぼす「不死殺しの王」。これはそんな無敵のハンターと、史上で最も狡猾な大敵=吸血鬼・ゼルネッツァAとの死闘の物語。

とある町の教会で起きた事件はやがて王家を揺るがす騒乱となり、人と不死者の激闘が幕を開ける。

世界最強のハンター・アクション、登場!


●名(迷)言達

「代行者(オレ)の使命に変更はない」by【ノア(最強の代行者)】

「パンケーキのためだ」by【エルザ(最凶の・・・・・・)】

「・・・・・・人間というものは・・・・・・」by【ゼルネッツァ(大敵)】


●みどころ

ダークな世界観で繰り広げられる戦闘シーンがみどころです。

ダーク×ヒロイックストーリーの組み合わせが好みな方は

結構ハマると思います。


●読んでみての感想

プロローグは登場人物の一人であるシルヴィが

「アーキリング」という男について、夜中に、誰かに語り出すところから始まります。

プロローグが終わると語り手が、

第三者にバトンタッチします。
・・・・・・とりあえず読み進めました。

 

ストーリーの内容は、悪魔的な存在である“怪異(エネミー)”を

カトリック系の戦闘機関が退治している世界で。

その中で、機関と契約している最強のハンターの活躍に焦点を当てた話です。

 

みどころにあるように、戦闘シーンが多数あって何も考え込むことなく読み進められる、爽快感のあるエンタメです。

イラストは細部までものすごいこだわりを感じました。ダークな世界観とマッチしていると思いました。

 

 

ただ、スキキライの部分で言うとこの作品、私はあまり好みではありませんでした。

バトンタッチした第三者の語り手が、知的である故に

シルヴィが語り手であれば回避(スルー)出来たであろう事案が目立ってしまって、物語を純粋に楽しむことが出来ませんでした。

・・・・・・ここからは、レビューというより、”考察”になります。ネタバレ・・・・・・あります。

 

 

 

 

 

 

私が、ずっと抱いてしまった感覚は、語り手のバトンタッチをひきずっているのかなぁ、と思います。
語り手は第三者視点ではあるのですが、心理描写はシルヴィ以外に描かないという制約はあります。
後に語り手は聖母と呼ばれる女性、シルヴィ(未来のシルヴィ)であるということが判明し、プロローグからバトンタッチはしてなかったのがわかるのですが、
なんというか、 心理描写がオマケ程度にしか出てこなくて、それ以外は何かに取り憑かれたように思えて、始終気になってしまいました。
これならば、心理描写を他のキャラクターも描くなり、またはシルヴィすら描かないようにして”第三者”に徹して欲しかったなぁと思いました。

語り手の解説は、細かい設定を交えながらテンポ良く進み、緊張感もほどよく出ていて読みやすかったのですが、
結構細かく書かれるので、普段はあまり深読みしない所も「何か意味があるんじゃないか」と勘ぐってしまう私がいました。
とどのつまりは ”あら探し”をしてしまったんですね。

序盤でシルヴィの父代わりの神父が襲われ、倒れるのですが、 神父が護身用の懐刀で応戦している痕跡があります。
その懐刀が”黄金製”でした。
聖職者が持っている武器が魔除けの銀じゃなくて黄金製、というところに「ん?」となりました。
マリーゴールドと掛けて黄金製にしたんだろうか。でも聖母信仰はプロテスタントに属するから”神父”(カトリック)が持ってる訳もないし。・・・・・・神父は東洋贔屓なのだろうか?

「銀はこの世界では力を発揮しないのかな」と思いながらも後半で登場する騎士団は銀を基調に装備をしているし、”聖素”という怪異に効果のある物質をあとから付与も出来るみたいだしで、

”怪異(エネミー)”が跋扈する危険な世界で、護身用の懐刀が銀でもなく、聖素もないものなのはどうしてだろう・・・・・・

・・・・・・そうか、このシルヴィの父親代わりの神父は○ななきゃいけないんだ。でも、モブキャラになりきってもいけない立場だから、一矢報いるために懐刀を持ってたんだ。でも神父が倒しちゃうとまずいから、”銀”じゃなくて”金”なんだ。・・・・・”銀”でも倒せない”怪異”だったらかっこよかったのに・・・

とか

1体で人類全てを滅ぼしかねない大敵(アークエネミー)が過去500年で33体確認されていて、いまだに12体が活動している世界

大敵以下の怪異も存在しているわけで。・・・・・・人類しぶといな

や、その他の設定を読み進める内に、

大敵は必ずしも滅ぼさなければならないのか? と疑問に思ってしまい、

大敵に脅威を感じなくて、あまり戦闘シーンも楽しめませんでした。

上記のようなつまらないことを考えてる私がいました。

・・・・・・私の勝手な解釈というか持ってしまったイメージだと、この作品は

異端尋問の、弾圧する側が後世に残すために誇張した話

のようにみえてしまいました。

何故に大敵が現れ、人を襲うようになったのか、

この謎がわかれば、もう少し楽しめたかもしれません。

 

 

単純に私が、一神教のバトル系作品と相性が良くないのだと思います。

「問答無用! こっちの言い分が正しい、改心しろ! でなければ○ね!

みたいな思想が跋扈している世界観が、あまり好きになれないのかな。・・・・・・救いようがないから。

 

 

そういう意味でこの作品が醸し出すダークな世界観は、排他的でとてもいいと思います。

現代兵器を武器にしているのもいいですね、人類の黄昏時みたいで。 かっちりハマれば、のめり込めるかもしれません。

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