《ハローワーク・ギルド》へようこそ!(小林三六九)レビュー


”それじゃあ・・・・・・また明日、ハローワークギルドで。”

●あらすじ

遠い昔、世界は一人の全能な神様によって創られた。
創った後は飽きちゃったので、世界の維持と発展については
人間に自分の力の一部を与えて、任せることにした。

適当な丸投げの神様が人間に与えた力は”職才”といって、
人は皆、何か一つの分野に特化した才能を持つようになった。
人は職才に合わせて己の役割に従事した。
職才を発揮できる職業を”適正職”とし、それ以外の仕事に就こうとするものはいなかった。

三百年前程前、
人間が頑張りすぎて魔族を滅ぼしてしまったので、
戦闘系の”職才”を持つ者達が職に炙れた。
世界が平和になったので、逆に戦闘系以外の日常を豊かにする類いの職業は人員不足。

そこで、適正職以外の職業を斡旋するためのギルド
ハローワークギルドが誕生した。

ハローワークギルドには、今日も転職希望者が訪ねてくる。

ファンタジー世界のほのぼのとした日常と、主人公のシリアスな過去が交錯する、都市型冒険コメディ


●名(迷)言達

「天職を手放して転職・・・・・・いや、冗談じゃなくて」 by【(語り)】

「私も十四才の時は・・・・・・あぁ想い出すのに時間が・・・・・・」by【クレア(一応20代の上司)】

「妖精、嘘つかない!」by【キットカット(妖精)】


●みどころ

世界が平和になった後

ファンタジー世界の職業事情をテーマにした作品です。

戦わざるえなかった。何が何でも生き抜かなければならなかった。

そういった束縛から解き放たれて

職業を選択する自由

を得た三百年後の世界という設定で、ハローワークに関わりを持つ人達(主人公以外女性)が

自分の適正に合った仕事と、本当にやりたい仕事は何か?

というジレンマに向き合っていく部分が前半部分のみどころです。

語り手のちょっとほわほわしている感じがコミカルで、笑いを誘います。


●読んでみての感想

ハローワークギルドのお話と言うことで

ハローワークという語感から、転職にまつわるストーリーというイメージが想起されますが

みどころ部分でもご紹介したとおり、

「平和になった世界で、自分が就いている職業にどのように向き合っていくか」

というのが大きなテーマになっていて

笑える作品ではありますが、結構考えさせられるストーリーです。

後半から、主人公キールの過去が明らかになっていき

物語の雰囲気がガラッと変わる部分もみどころです。

 

とくによかったなぁと思えるところは

後半部分から活躍する

カタキ役が魅力的な事。

ただ悪さをするだけでなく、行動の動機には

ハッキリとした自分なりの”正義”

があり、それを行使する手段を除いては、共感できる部分もありました。

敵、味方問わず、

職を通して人の在り方を真摯に考え、行動する登場人物達が、魅力的です。

 

 

 

 

ちょっと気になった部分は、語り手がキール(主人公)なのか第三者なのか、曖昧な所ですね。

最初はキールの心の声が書かれているかと思ったら、主語が「キールは~」みたいな感じでキールの行為を客観的に描いていたりして、

キールか第三者のどちらかに同調して読み進めている時に、ふと現実に引き戻されてしまう感覚をいくつかの場面で覚えました。

キールと第三者、語り手が二人いる感じでした。

語り手ののほほんとしたゆる~い人格は、私個人としては好みです。

 

 

話題が大きく、大きく逸れますが、

1ページ目の導入部は

昨日も何もしなかった。

今日も何もすることがない。

明日も何もしないだろう。

という三行の文から始まるのですけど、この部分を読んで真っ先に

寺山修司先生(ウィキペディア)の「醒めて歌え」

の主人公、にんじん君が頭をよぎりました。 ちょっと調べただけだと、収録している本が見つかりません。

・・・・・・きっとどんな内容かわかってしまった方はマイノリティです(戯曲なので舞台公演がyoutubeなどにアップされてます)。

 

寺山修司先生はですね、ボクサーになるのが夢だったそうです。

でもボクサーの厳しい減量生活を知って、諦めたそうです。

「ボクサーになることが出来ないので、詩人になって言葉で人を殴り○せるようになりたい

と考え、詩人(と脚本家と演出家と小説家と評論家と俳優とetc)になったそうです。アニメ”あしたのジョー”ではOPテーマの作詞をされてます。

小汚い灰皿にも哲学を見いだして詩を書いてしまう方です。

あと、一般家庭の食卓を覗き見て逮捕された経歴もあった気がします。

職業って、いろいろですね。

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