”そして、三百年が経った。”
●あらすじ
相沢梓(アイザワ アズサ 27歳、独身)は過労死した。仕事が原因だった。
アズサは黄泉路を歩む道すがら、天使のような羽を生やした若い女の人に出会う。
天使とも死神ともわからない女の人(女性贔屓)はアズサの前世を憐れんで、
「来世ではあなたが願う一生を送らせてあげよう」
とアズサに言った。
わずか五年の社畜生活の間に、この世の闇を味わったアズサは
「永遠にスローライフを送りたい」
と願い、不老不死となって転生した。
見た目は17歳に若返り、のどかなファンタジー世界に転生したアズサは、無人の手頃な家屋を見つけるとそこに住みついた。
作物を育てたり、薬を調合したり、自給自足のスローライフを送った。
お金は森に住むスライムを倒して稼いだ。
気がつけば三百年が経過していて
アズサは最強になっていた。
そして噂を聞きつけた冒険者やドラゴンが腕試しにやってきて……
スライム倒して三百年、目指すは永遠のスローライフ! ”高原の魔女”アズサが送る、異世界アットホームコメディ。
●名(迷)言達
「ここのオムレツは世界一ですね!」by【アズサ(高原の魔女)】
「これは壊された部屋の痛みだ!」by【アズサ(最強の魔女)】
「二人とも、ママに任せなさい!」by【アズサ(一家の大黒柱)】
●みどころ
アズサの一人称でストーリーが進行します。
みどころは
前世の教訓を活かした、相手を思いやる気持ちを忘れない、アズサの人間性です。
所々社畜時代の悲しいエピソードが差し込まれ、哀愁を演出します。
アズサには永遠に幸せでいてほしいと願いたくなります。
●読んでみての感想
台詞が多めの作品で、キャラクターのやりとりが毎度毎度笑いを誘います。
ストーリーの展開もテンポが良くて、あっという間に読めました。
アズサの転生先は
MMORPGのような設定を持ったファンタジー世界なのですが、
アズサ本人が全くゲームをやったことがないのでしょう
”スキル”とか”魔法”とか”レベルアップ”とか、
特に生活で困ることもないので無関心です。
ソシャゲすらプレイする暇もないほど苦しい社畜生活を送ったのだと想うと悲しくなります。
最初はちゃんと武器を使ってスライムを倒していたアズサですが、
そのうちデコピンでスライムを倒せるようになります。
でも
”スキル”とか”魔法”とか”レベルアップ”とか、
特に生活で困ることもないので無関心です。
アズサは
「永遠に平穏なスローライフを送っていたい」
と心の底から願っています。
アズサの語り部分(本文)には、その本音の価値観が語られていて
エピソードの節々で
面倒ごとに巻き込まれる度に脱力したコメントを残すアズサに笑えました。
三百年を経て、長命の家族が一気に増えます。
結婚式に、観光に、問題ごとの尻ぬぐいにと奔走するアズサの、充実した、それでいて平穏な毎日が少しうらやましくなりました。
冒険? ん? 何ソレ?
オススメです。
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