視えるふたりの恋愛相談室(おみの維音)レビュー


”ただ、間違っても先生に「頭おかしくなりました?」なんて言ってはいけないことだけは察した”

●あらすじ

失恋した親友のために、相談すれば想いが実ると言われているスクールカウンセラー人見(ひとみ)を訪ねた束(たばね)は運命の糸が視える人見の秘密を知ってしまう。それがきっかけで、人見の相談室を手伝うことになり――?

”運命の糸”が視えるスクールカウンセラーと

”幽霊”が視える女子高生が送る、

”縁”で結ばれた学園の”恋愛ミステリー”

 


●名(迷)言達

「-甘すぎて吐きそうと愚痴をこぼすくらいのラブラブっぷり-」 by【束の語り】

「実際、好きじゃなくても付き合えますよ」by【新井(色恋沙汰のトラブルメーカー)】

「-だめだっ、笑うっ・・・」by【初山君(クラスメイトの剣道部)】


●みどころ

”謎解き”です。

主人公束の一人称視点で物語は進行します。

全4話で構成されていて、1話ごとにキーパーソンとなる登場人物がいます。

キーパーソンとなるキャラクターの恋愛や、恋心で揺らぐ人間関係などの相談をスクールカウンセラーの人見と束が聞いて

問題の解決に(主に束が)尽力します。

しかし、悩み相談に来たキャラクターは自分の内面の全てを打ち明ける事が出来ません(ある意味リアルですね)。

ここで推理が入ります。

この段階で人見や束の能力により、ヒントが読者に与えられます。

「相談している人の本当の望みは何か?」

束の行動から少しずつ情報が集まって、謎が解けていく課程がみどころです。


●読んでみての感想

束の”気負わない性格”に好感が持てます。

人見先生には「おせっかい」とか「よく面倒な事に首を突っ込む」などと指摘されますが、

束自身の行動や動機(語り)からは「誰かの為に」という義務感や使命感はほとんど感じられません。

「自分がすっきりしたいから」

みたいな利己的な動機で行動しているように思えました。

その行為が結果的に誰かを救うことになるのは、ひとえに束が優しい心の持ち主だからでしょう。

 

”霊が視える体質”の本領が物語の後半で発揮されますが、人見先生の”運命の糸が視える体質”も含めて、

「視えるだけ」(霊と会話できるだけ)という能力が物語を引き立てていると思います。

この二つの能力は悩み相談者の情報を収集することに役立ちますが、それ以上の事は出来ません。

結局不思議な能力を持っていても、生身で行動を起こさなければ問題の糸口すら掴めないのです。

 

「運命線を結び直す!!」とか「悪者に悪霊を取り憑かせてやる!!」みたいな能力でなくて本当によかったと思いました。

 

この二人の限定的な能力は

「ちょっとだけ観察力が長けている」

という他者とのアドバンテージを体現しているとも言えます。

「ちょっと不思議な人だな~」程度に思えて親近感が湧き、主人公達が直面する困難に共感することができました。

 

全4話で構成される物語の登場人物の中には、たった1話しか出てこないキャラクターもいました。

しかし、この物語がテーマにしている「縁」の中にガッツリ入っていて、一見バラバラにみえるエピソードも

最初から最後まで一本の”運命の糸”でつながっています。

登場人物が誰一人欠けても成り立たないというのが、最後にわかります。

読み終えて抱いた感想は

「よかった。すっきりした」

でした。

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