月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。(徒埜 けんしん) レビュー


●あらすじ

この世界には【神人】と呼ばれる神話(主に古事記)に登場する神々の末裔と人間が共存している。
主人公の伊岐朔は高校二年生で、外見こそ人間のそれだけれど、驚異的な力をもつ神人。
しかし人間の級友たちは「そんなこと関係ねえよ」さえ言わないほど、彼が神人であることをほとんど意に介していない。

このことからも想起できるように、【神】という存在が形骸化されている。
神人の持つ力というのは人間の尊崇を源としていて、この時代の神人達は尊崇を集めることに躍起になっている。

尊崇を集めるのに手っ取り早いのは「人間達の目の前でその力を見せつける」こと。
結果的に神人が派閥(神衆組織)ごとに敵対死合いしあい、血煙漂うヤ○ザ抗争に発展。

伊岐朔の父は規模こそ小さいが、由緒ある”月夜見一家”の総長である。
朔本人は抗争に無関係な「カタギ」としての生活を送っていたけれど、ある事件を切っ掛けに仁義なき神衆抗争の只中に足を踏み入れることになる。


●名(迷)言達

「時間さえあれば、前も後ろも全員殺れますよ?」by【佐波良】

「お前ら全員生きて帰れると思うな」by【朔】

「首落としても死なねえんだろ? 手足くらいで騒ぐんじゃねぇよ」by【朔】


●みどころ

独断と偏見で選別した上記の名言のように血なまぐさいシーンが割とあります
みどころはとにもかくにも戦闘シーンです。
日常から戦闘シーンにパッと切り替わり、ストーリーも目まぐるしく展開するので爽快感があります。
で、主人公は人間の格好していますが【神人】というのもいろいろ種類があります。
表紙の女性は月のうさぎの神人さんです。もちろん驚異的な能力を持っているで、月うさぎにちなんだ愛用のを振り回してウサギだけど獅子奮迅の活躍をします

 


●読んでみての感想

血なまぐさい・・・
いえ、ほめてますよ。エンタメとして楽しく読めました。
無慈悲な戦闘シーンと、かわいらしい女性陣との安らぎのひとときがランダムに織り込まれていて、高低差の激しい緩急となって惹きこまれます。
萌々でも燃々でもない””って感じですね。要素が強いので二回使いました。
ヤ○ザ映画って、人間同士の抗争ですよね。人間ってもろいです。小指一本○とされただけでも、的確な治療をしなければ命取りです。

だから良くも悪くも戦闘シーンって結構あっさりしがち。故にそれ以前の情報戦や人情を主軸に置くものが多いと思います。

 でも登場人物は神様だから頑丈です。
 首を落としても生きてます。

なので描写が・・・うん、えぐい。だってなかなか死なないんだもん。

任侠ものの抗争で、戦闘を主軸に置く作品として、この”神人”という設定は絶大な効果を発揮したと思います。

ただしこれも良し悪し。登場人物が強すぎるが故に、情報戦で稚拙さを感じてしまった部分がありました。

人間は身体がもろい故に策を巡らせ、葛藤します。「小細工は力で押し通す!」なんて事がままならないからです。

主人公は弱小組織という設定ですが、戦闘力は天下一品です。
だから敵対組織の連中は策を巡らせて罠にはめます。

主人公達、罠にハマりすぎです。でも力があるので切り抜けられます。

罠にハマってくれるからこそ、戦闘に次ぐ戦闘が立て続けに展開してスピーディでおもしろいのですが……うん、良し悪し……ですね。

今後勝手に期待している展開は「人間の介入」です。
神事不介入という制度があって、人間は神様同士の抗争に日々おびえている世界設定の本作品。
・・・”神殺し”を決意する人出てこないかな。
相手が弱すぎる故に主人公が葛藤したりしないかなぁと妄想してます。

神様同士の戦闘は特殊能力のぶつけ合いみたいな部分があるので
「人間、特技”物量”」
みたいな戦闘シーンがあると……血なまぐさいな、やめてほしいそれだけは(いや、きっと私はそんな話を読んでしまう)。

表紙の女性は、月のうさぎさんなのですが、武器がハンマー(杵)です。
豪快にブンまわします。

表紙やオシャンティーなタイトルからは想像できない血の華が咲き乱れる展開。これは良い意味で裏切られました。

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