悲衛伝(西尾維新)レビュー


●あらすじ

「月と太陽が対等なわけないでしょ。あたしにとっては”あのおかた”よ」

人工衛星【悲衛】の宇宙飛行士・空々空(そらからくう)の自室に突如現れたバニーガール
バニーガルは月の化身だと名乗った。
彼女は地球VS人類の戦争を停戦させるため太陽系の惑星(お話しやすいように人の形になってくれるそうです)の仲立ちを提案する。
『地球撲滅軍』のエースにして人類の英雄である空々空君(14歳)は
「だったら太陽と交渉したいな。惑星も恒星も一緒でしょ?」
と言ったらバニーガールは困ってしまった。
太陽様を怒らせたら、あとにはブラックホールしか残らないかも・・・

人類約20億人を片手間で滅ぼした水の惑星・地球(幼児)に、
丸腰の徒手空拳+無策で説得を試みるSFエンターテイメント


●名(迷)言達

「28億キロなんて、宇宙規模で考えたら、28センチと同じようなものですよ。30センチ定規で測れます」 by【天王星(少女)】

「話は通じると思うわよ。天王星みたいなひねくれものじゃないから。て言うか、自転軸、ほぼ垂直だから」 by【月(バニーガール)】

「先にネタバレしておくと、(土星は)天使の格好で来るから。天使の輪っか」 by【月(バニーガール)】

「座っていい? 準惑星ごときだけど」 by【冥王星(死神)】


●みどころ

ライトなSFかなぁ・・・とタカをくくって読みましたが、
ド派手な戦闘シーンや、鬼気迫るピンチといったものがないにもかかわらず、
展開がどんどん壮大になっていくところが爽快です。
交渉が進展するにつれて登場人物(惑星の化身)が増えていき、言葉の駆けあいが加速していくのが小気味よい感じです。

上掲のあらすじは1章を要約したものですが、2章以降は太陽に協力を要請するにもまずは外堀からということで、主人公は太陽系惑星の方々から交渉を始めます。
交渉の順番は各惑星の公転周期から相対的に近い順に面談していきます。
なので、ダブルブッキングになることも有ります。 行き当たりばったりですね。

交渉の一番はじめにやること・・・それは来賓の惑星方(少女、女戦士、令嬢、天使etc)にニックネームをつけることです。

空々空君が命名する安易なネーミングセンスが面白い。
青い氷の星だから”ブループ(ブループラネット)
自転周期がやたら早いから”スピーン”etc・・・
その名前で納得したり、もの申したりする惑星の化身たち(交渉しやすいように相手に合わせて見せ方を変えているらしい)が、なんかかわいい。


●読んでみての感想

シリーズものだと知らず読みました。
本作は『伝説』シリーズという西尾維新さんの第8作目となります。
この作品の前のシリーズは全く読んだことがないのですが、楽しめました。

惑星が人の姿で現れて主人公が交渉します。
惑星達はそれぞれの利害や、見解、性格がしっかりと書き込まれていて
主人公は最初行き当たりばったりな交渉をしていたけれど、物語が進むうちに交渉戦略を考えるようになってきて
「彼女(惑星)は反対意見を持っているから、この人(惑星)とブッキングさせて会談しよう」
と進行させて、地球による全人類抹殺計画を、太陽系の惑星達が一致団結して、これを阻止する”惑星直列”計画を打ち出すところが面白かった。
最後がなぁ、続き読みたくなっちゃう最後だったなぁ・・・(あとがき読むかぎり、あと2巻くらいありそう。)

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